「終活」という、いわゆる自身が死亡することに関する備えについて世間で注目されるようになりましたが、昨年中に作成された公正証書遺言は9万6020通と過去最高であったそうです(平成26年4月5日付日本経済新聞)。

遺言書を作成することは、ご自身の意思を遺すことができ、ときには相続人らの間の争いを防ぐという良い点もありますが、その内容によっては、逆に争いの火種を生んでしまうこともあります。

また、遺言書は、どのようなものであっても必ず法的効力が生じるといったものではありません。

たとえば、「所有している自宅はそのままにしてほしいので、永久に遺産分割しないように。」という内容の遺言書は、作成することは可能ですが、実現については相続人らの判断に委ねられることになります。

どのような事柄であったら法的効力を発生するのか、どのような文言を選べば最も意思に沿うものとなるのかは、専門家に相談する方が良いでしょう。

 

 さて、冒頭であげました「公正証書遺言」とは、遺言書を作成する方式の1つです。

 遺言書の作成方法は、「普通の方式」(民法967条)と死亡の危惧に迫った者等場合の「特別の方式」(民法976条)があります。一般的な遺言書は前者になります。

 普通の方式には、(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言があります。よく用いられるのは、(1)と(2)です。(1)自筆証書遺言は、遺言書の全文を遺言者の自筆で記載し、日付を記載した上で、署名、押印をするものです。パソコンを使用したり代筆してもらったりすることはできません。(2)公正証書遺言は、公証役場の公証人を利用して遺言を作成するもので、内容の整った遺言を作成することができます。(3)は、内容は秘密のままで存在のみを明らかにするというものですが、あまり利用されません。

 

 以上のように、遺言書の作成方法は法律で規定されており、内容面も含め、適切に作成しなければ、かえって相続人間の争いを生みかねません。まずは、お気軽にご相談ください。

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